JetBrainsは、単体の生成AIチャットサービスというより、開発者向けIDEにAIを組み込んだ「AI開発環境」です。中心となるのはJetBrains AI Assistantと、複数ステップの開発作業を任せられるJunie。コード補完、コード説明、リファクタリング、テスト、複数ファイルの編集まで、普段の開発環境から離れずにAIを使える点が最大の特徴です。AI Assistantは2023年に公開され、2025年にはJunieが一般提供されました。:contentReference[oaicite:0]{index=0}

01JetBrainsはどんなAIツール?
JetBrainsは、IntelliJ IDEA、PyCharm、WebStorm、GoLand、Riderなどの開発環境で知られるソフトウェア企業です。2000年から開発者向けツールを提供しており、現在は世界で1,250万人以上のRecurring Active Usersを抱える大規模な開発者向けプラットフォームになっています。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
JetBrains AIの考え方は、ChatGPTのようなAIチャットを別ウィンドウで使うことではありません。IDEそのものがコード、ファイル、プロジェクト構造などの開発コンテキストを理解し、その情報をAIに渡して作業を支援する設計です。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
つまり「AIにコードを書いてもらう」というより、自分の開発環境の中にAIプログラマーを配置すると考えたほうが実態に近いでしょう。
02JetBrains AIの主な機能
- 💬 AI Chat コードやプロジェクトについて質問し、エラーの原因、設計、実装方法などを会話形式で確認できます。
- ⚡ コード補完 コード入力中に次に必要になりそうなコードを提案します。単純な入力補助だけでなく、開発の流れに合わせた補完を利用できます。
- ✏️ コード生成・編集 自然言語で指示してコードを作成・変更できます。既存コードの改善や書き換えにも利用できます。
- 🔍 コード理解・説明 初めて触るコードや複雑な処理について、何をしているのかをAIに説明させられます。
- 🧩 複数ファイルの編集 AIの編集機能を利用して、関連する複数ファイルにまたがる変更をまとめて進められます。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
- 🤖 Junie AIエージェント 要件を伝えると、計画作成、コード変更、テスト実行、ターミナル操作など、複数ステップの作業を進められます。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
- 📝 ドキュメント・コミット支援 インラインドキュメント、コミットメッセージ、リネームやリファクタリングなど、日常的な開発作業もAIで効率化できます。:contentReference[oaicite:5]{index=5}
- 🔌 複数AIモデル・BYOK OpenAI、Anthropic、Google、xAIなどのモデルに加え、自分のAPIキーやローカルモデルを利用する選択肢もあります。:contentReference[oaicite:6]{index=6}
03JetBrains AIの強み・他のAIコーディングツールとの違い
JetBrains AIの一番大きな強みは、AIそのものよりもIDEとの統合の深さです。
1. プロジェクトの文脈を理解しやすい
一般的なAIチャットでは、必要なコードを自分でコピーして貼り付ける必要があります。一方、JetBrains AI Assistantは現在のファイルや選択コード、プロジェクト構造などをコンテキストとして利用できます。:contentReference[oaicite:7]{index=7}
2. AIがIDEの外に出ない
コードを書く、検索する、デバッグする、テストするという開発作業を同じ環境で続けられます。AIの回答を見ながら別の画面に移動して作業する必要が少なくなります。
3. Junieは「質問回答」より一歩進んでいる
Junieは単純なコード生成ではなく、複数ステップのタスクを計画し、コードを変更し、テストやターミナル操作まで進められるエージェント型の設計です。:contentReference[oaicite:8]{index=8}
4. AIモデルを一つに固定しない
JetBrains独自モデルだけに依存するのではなく、複数のAIプロバイダーやBYOK、ローカルモデルなどを組み合わせられる点も、開発者にとっては大きなメリットです。:contentReference[oaicite:9]{index=9}
逆に言えば、プログラミングをしない人にとっては、この「IDEとの深い統合」はそれほど大きなメリットではありません。文章作成や画像生成だけが目的なら、JetBrains AIを第一候補にする理由は薄いです。
04どんな仕事・用途に向いている?
| 用途 | 向いている度 | 具体的な使い方 |
|---|---|---|
| プログラミング | ★★★★★ | コード生成、修正、リファクタリング、デバッグ、テスト作成 |
| Web開発 | ★★★★★ | React、JavaScript、TypeScript、HTML、CSSなどの開発支援 |
| Python開発 | ★★★★★ | Pythonコードの作成、エラー解析、テスト、データ処理 |
| アプリ開発 | ★★★★★ | Java、Kotlin、Androidなどの開発支援 |
| データベース | ★★★★☆ | SQL、データ構造、クエリ改善、DataGripを使った作業 |
| コードレビュー | ★★★★☆ | バグ、可読性、設計上の問題をAIにチェックさせる |
| 文章作成 | ★★☆☆☆ | 開発ドキュメントやコメント作成には便利。ただし一般的な文章作成には専用AIのほうが向く |
| 画像・デザイン制作 | ★☆☆☆☆ | 画像生成やグラフィックデザインが主目的なら適したツールではない |
ここは重要です。JetBrains AIを「何でもできる生成AI」と考えると評価を誤ります。基本的には開発者の仕事を速くするためのAIです。
05JetBrains AIの使い方
Step 1:JetBrains IDEを用意する
IntelliJ IDEA、PyCharm、WebStorm、GoLand、PhpStorm、Rider、RubyMine、RustRoverなど、対応するJetBrains IDEを使用します。AI Assistantは現在これらのIDEに対応しており、Android StudioやReSharperでも利用できます。:contentReference[oaicite:10]{index=10}
Step 2:AI Assistantをインストールする
AI AssistantはIDEに最初から完全に組み込まれているわけではなく、プラグインとして導入します。JetBrains MarketplaceやIDE内のAI Chatなどからインストールできます。現在のAI AssistantはIDE 2023.3以降が基本的な要件です。:contentReference[oaicite:11]{index=11}
Step 3:JetBrains Accountでログイン
JetBrains Accountで認証し、AI Free、AI Pro、AI Ultimateなどの利用方法を選択します。また、対応するAIプロバイダーのAPIキーを自分で接続する方法もあります。:contentReference[oaicite:12]{index=12}
Step 4:AI Chatを開く
AI Chatから「このコードは何をしている?」「このエラーの原因を調べて」「このクラスをリファクタリングして」などと質問します。
Step 5:必要ならJunieにタスクを任せる
例えば「ユーザー登録APIにメールアドレスのバリデーションを追加し、関連するテストも作成して、既存テストが壊れていないか確認してください」のように、完成条件まで含めて依頼します。Junieは複数ファイルを変更し、テストやターミナル操作を含む作業を進められます。:contentReference[oaicite:13]{index=13}
06JetBrains AIを上手に使うコツ
JetBrains AIでは、目的、対象ファイル、制約条件、完成条件まで指定したほうが結果が安定します。
悪い指示
「ログイン機能を作って」
良い指示
「既存のユーザー認証構造を確認してください。現在の設計を大きく変更せず、メールアドレスとパスワードによるログイン処理を追加してください。入力チェック、認証失敗時のエラー処理、既存のコーディング規約を維持し、関連するテストも追加してください。変更前に実装方針を説明してください。」
実務で使いやすい5つの指示方法
- 目的を先に書く:何を実現したいのかを明確にする。
- 変更範囲を指定する:「このファイルだけ」「既存APIは変更しない」などの制約を与える。
- 既存コードを尊重させる:新しい設計を勝手に持ち込ませない。
- テストまで依頼する:コード生成だけで終わらせない。
- 最初に計画を出させる:大きな変更では、いきなり編集させず実装方針を確認する。
特にJunieのようなエージェントを使う場合、AIに全部丸投げするより、「計画 → 確認 → 実装 → テスト → レビュー」という順番で進めたほうが安全です。
07インストール方法と対応環境
| 環境 | 対応状況 | 利用方法 |
|---|---|---|
| Windows | ○ | JetBrains IDEにAI Assistantを導入 |
| macOS | ○ | JetBrains IDEにAI Assistantを導入 |
| Linux | ○ | JetBrains IDEにAI Assistantを導入 |
| Android Studio | ○ | AI Assistantを利用可能 |
| Visual Studio Code | ○ | JetBrains AI AssistantのVS Code版が提供されている |
| iPhone / iPad | △ | 専用のAI Assistantモバイルアプリを中心としたサービスではない |
| Androidスマートフォン | △ | Android Studioは対応するが、スマートフォン向けAIアプリとは位置付けが異なる |
| ブラウザ | △ | 一般的なブラウザ型AIチャットを主軸としたサービスではない |
JetBrains AIの基本思想はあくまでIDE内で使うことです。Visual Studio Code向けAI Assistantも展開されていますが、JetBrains IDEほど「開発環境そのものとの統合」を前面に出した製品ではありません。:contentReference[oaicite:14]{index=14}
08料金・無料版・Pro・Ultimate・Enterprise
JetBrains AIは現在、AI Free、AI Pro、AI Ultimate、AI Enterpriseという料金体系を展開しています。料金やクレジット体系は更新される可能性があるため、契約前には最新の料金表示を確認するのが安全です。2026年時点の公式料金ページでは、AI Freeは無料で、AI Proは年間100ドル、AI Ultimateは年間300ドル、AI Enterpriseは年間720ドルからとなっています。:contentReference[oaicite:15]{index=15}
| プラン | 料金の目安 | AIクレジット | おすすめユーザー |
|---|---|---|---|
| AI Free | 無料 | 30日ごとに3 AI Credits | まず試してみたい人 |
| AI Pro | 年間100ドル | 30日ごとに10 AI Credits | 日常的にAI支援を使う開発者 |
| AI Ultimate | 年間300ドル | 30日ごとに35 AI Credits | JunieなどのAIエージェントを頻繁に使う人 |
| AI Enterprise | 年間720ドル | 大容量クレジット+企業向け機能 | 企業・大規模開発組織 |
AIクレジットは基本的に1 AI Credit=1米ドル相当として扱われ、追加チャージにも対応しています。Enterpriseでは組織向けのセキュリティ、管理、カスタムAI統合などが強化されています。:contentReference[oaicite:16]{index=16}
また、JetBrains AIの契約がなくても、対応するAIプロバイダーのAPIキーを自分で設定するBYOKや、Ollamaなどを含むローカルAIモデルを利用する選択肢があります。:contentReference[oaicite:17]{index=17}
09どんな人におすすめ?
- プログラマー:最も相性が良いユーザー層。コード生成からデバッグまで幅広く使えます。
- Webエンジニア:フロントエンドとバックエンドの実装をAIで補助できます。
- 学生:コードの説明やエラー原因の理解に役立ちます。ただしAIの回答をそのまま課題として提出する使い方はおすすめできません。
- スタートアップ:少人数チームで実装量を増やしたい場合に有効です。
- 企業の開発チーム:AI Enterpriseなら組織管理やセキュリティ面まで考慮できます。:contentReference[oaicite:18]{index=18}
- AIコーディングを試したい開発者:AI Assistantだけでなく、Junieや複数モデルを試せる点が魅力です。
一方、マーケティング担当者、営業担当者、ライター、デザイナーなど、普段コードを書かない人には優先順位は低めです。JetBrains AIを導入するより、用途に特化した文章生成、画像生成、資料作成系のAIを選んだほうが効率的でしょう。
10世界での利用状況
JetBrainsそのものはすでに世界規模の開発者向けソフトウェア企業です。2025/2026年の企業情報では、Recurring Active Usersが1,250万人以上、従業員は2,600人以上、Fortune Global 100企業のうち88社が顧客とされています。:contentReference[oaicite:19]{index=19}
AI分野も急速に拡大しています。JetBrainsの2026年年次レポートによると、2025年第4四半期にはAIツールの有料アクティブユーザーが6桁規模に到達し、Junieについては2025年のユーザー数が343,000人、AI支援アクションが100万件以上と報告されています。:contentReference[oaicite:20]{index=20}
地域別では、JetBrains全体が北米、欧州、アジア太平洋地域で広く利用されており、特にインドの成長が目立つと同社は説明しています。:contentReference[oaicite:21]{index=21}
なお、JetBrainsはAI Assistantについて「月間アクセス数」のような一般的なWebサービス型のPVを主要指標として公開しているわけではありません。そのため、AIツール紹介記事では、推測したアクセス数を載せるより、JetBrainsが公表しているユーザー数やAI利用指標を使うほうが信頼性があります。
11JetBrains AIのメリット
- IDEとの統合が非常に深い:コード、ファイル、プロジェクト構造を踏まえたAI支援ができる。
- 開発作業を一つの環境で完結しやすい:コード生成、説明、修正、テストなどをIDE内で進められる。
- Junieが実務向け:単発の回答ではなく、複数ステップの開発タスクを任せられる。
- AIモデルの選択肢が広い:OpenAI、Anthropic、Google、xAIなどに加えてBYOKやローカルモデルにも対応。
- 企業利用を意識した設計:EnterpriseではAI利用管理やセキュリティ、SSOなどの企業向け機能を提供。
12JetBrains AIのデメリット
- 非開発者にはメリットが小さい:AIチャットを使いたいだけならオーバースペックです。
- 料金体系が少し複雑:IDEのライセンスとAIプラン、AIクレジット、BYOKなど複数の選択肢があります。
- AIの回答を完全には信用できない:もっともらしいコードを生成しても、バグや設計上の問題が残る可能性があります。
- エージェント利用には監督が必要:Junieのようなエージェントは複数ファイルやコマンドを扱えるため、変更内容を確認せずに任せきるのは危険です。
13他のAIコーディングツールとの比較
| 項目 | JetBrains AI | GitHub Copilot | Cursor | ChatGPT |
|---|---|---|---|---|
| 主な用途 | IDE統合型のAI開発 | コード補完・AI開発支援 | AI中心のコードエディター | 汎用AI・コード支援 |
| IDE統合 | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★☆☆ |
| プロジェクト理解 | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★☆☆ |
| AIエージェント | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ |
| 一般的な文章作成 | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★★ |
| 画像生成 | ★☆☆☆☆ | ★☆☆☆☆ | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ |
| 向いている人 | JetBrains IDEを使う開発者 | GitHub中心の開発者 | AI中心の開発環境を求める人 | 開発以外もAIで行いたい人 |
この比較でJetBrains AIが強いのは、JetBrains IDEをすでに仕事の中心にしている開発者です。逆に「AIを使ってコードを書くためにIDEそのものを選び直したい」という人なら、Cursorなども比較対象にしたほうがいいでしょう。
14JetBrains AIを実際に使うなら、どう使うべき?
個人的におすすめしたいのは、最初からJunieに大きな仕事を丸投げする方法ではありません。
- まずAI Chatで既存コードを説明させる。
- 次に小さな修正をAIに依頼する。
- 変更内容を自分で確認する。
- テストを書かせる。
- テストが通ったら、少しずつ大きなタスクをJunieに任せる。
この使い方なら、AIの能力だけでなく、自分のコードベースに対する理解も維持できます。特に企業開発では「AIが書いたから動くはず」ではなく、レビュー、テスト、Gitによる変更管理を残しておくことが重要です。
15JetBrains AIはおすすめ?結論
結論:JetBrains IDEを普段から使っているプログラマーなら、かなり試す価値があります。
特に、IntelliJ IDEA、PyCharm、WebStorm、GoLand、Riderなどを日常的に使っているなら、AI Assistantを追加することで「コードを書くためのAI」から「開発作業そのものを支援するAI」へ使い方を広げられます。
一方で、ChatGPTのように文章を書いたり、アイデアを整理したり、画像を作ったりする目的なら、JetBrains AIを選ぶ必要はありません。JetBrains AIは万能AIではなく、ソフトウェア開発にかなり寄せたAIツールだからです。
特におすすめしたい人
- JetBrains IDEを毎日使っているプログラマー
- 大規模なコードベースを扱っている開発者
- コードレビューやリファクタリングを効率化したい人
- AIエージェントによる開発自動化を試したい人
- 企業でAIコーディングを導入したい開発チーム
あまりおすすめしない人
- プログラミングをほとんどしない人
- 文章作成が主目的の人
- 画像生成・動画生成が目的の人
- ブラウザ上のAIチャットだけを使いたい人
2026年のJetBrains AIは、単なる「コード補完AI」から、AI AssistantとJunieを中心としたAI開発環境へ進化しています。特にAIエージェント、複数モデル、BYOK、ローカルモデルへの対応が進んでいるため、開発者がAIを使う方法の選択肢はかなり広がっています。:contentReference[oaicite:22]{index=22}
ただし、AIの性能が高くなっても、設計判断やコードレビューまで完全にAIへ任せるべきではありません。JetBrains AIを最も効果的に使う方法は、「AIに開発者の仕事を奪わせる」のではなく、「開発者が判断し、AIに実装作業を多く担当させる」という使い方です。

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