Roo Codeとは?
Roo Codeは、AIを開発環境の中に組み込み、自然言語による指示からソフトウェア開発作業を進められるオープンソースのAIコーディングエージェントです。単純なコード補完ではなく、プロジェクトのファイルを読み取り、コードを作成・変更し、ターミナルを操作しながら作業を進めることを目的としていました。
開発元はRoo Code, Inc.です。プロジェクトはGitHub上で公開され、Apache License 2.0のオープンソースとして開発されていました。公式GitHubでは、Roo Codeについて「エディターの中にAIエージェントによる開発チームを置く」という方向性が示されており、一般的なAIチャットよりも開発作業そのものに重点を置いた製品でした。
Roo CodeはClineから派生したプロジェクトとして発展し、Code、Architect、Ask、Debug、Custom Modesなどの機能を追加してきました。さらに複数のAIモデルやMCPなどにも対応し、AIを単なるコード生成機能ではなく、開発作業を実行するエージェントとして利用できる構成を目指していました。
なお、Roo Codeの「サービス開始日」を1日単位で断定するより、公開GitHubプロジェクトとして発展してきた経緯を見るほうが正確です。2026年5月15日に公式リポジトリがアーカイブされ、同日に最後の公式リリースが公開されています。GitHub上では現在も過去のソースコード、リリース、変更履歴を確認できます。

Roo Codeの主な機能
1. 自然言語によるコード生成
「ログイン機能を追加する」「商品一覧ページを作る」「このJavaScriptをTypeScriptへ移行する」といった自然言語の指示からコードを生成できます。単一のコード片だけでなく、プロジェクト全体を見ながら複数ファイルを変更できる点が特徴でした。
2. コードの読み取りとファイル編集
既存プロジェクトのファイルを読み取り、関連するコードを確認したうえで修正できます。新規ファイルの作成、既存ファイルの変更、ドキュメント更新など、通常の開発作業に近い操作をAIへ依頼できました。
3. ターミナル操作
コードを書くだけではなく、テストやビルド、パッケージ関連のコマンドなどを実行するエージェント型のワークフローに対応していました。これにより「コードを書く→実行する→エラーを確認する→修正する」という流れをAIに任せられます。
4. Code Mode
通常の実装作業に使うModeです。ファイルの読み取りや編集など、実際のコーディング作業をAIに依頼するときの中心的な機能でした。
5. Architect Mode
いきなりコードを書くのではなく、システム設計、仕様整理、データ構造、移行方法などを検討するためのModeです。大きな変更を加える前に設計を固める用途に適しています。
6. Ask Mode・Debug Mode
Ask Modeではコードベースについて質問したり、処理の仕組みを説明させたりできます。Debug Modeではエラーや不具合の原因を調べ、関連コードを確認しながら問題を切り分ける使い方ができます。
7. Custom Modes
Roo Codeの特徴的な機能の一つです。ユーザー自身がAIの役割を定義し、「コードレビュー担当」「テスト担当」「セキュリティチェック担当」など、特定の仕事に特化したModeを作成できます。
8. MCP・複数AIプロバイダーへの対応
Model Context Protocol(MCP)を利用した外部ツール連携や、複数のAIプロバイダー・モデルを利用するための仕組みも用意されていました。公式ソースコードにはAnthropic、OpenAI、Google Gemini、Amazon Bedrock、OpenRouterなど複数のプロバイダーに対応する実装が確認できます。
Roo Codeの主な特徴・強み
Roo Codeが注目された理由は、単純な「AIコード生成」ではありません。AIにプロジェクトを読ませ、ファイルを変更し、コマンドを実行させるという、現在でいうAIエージェント型の開発スタイルをVS Code上で実現していたことにあります。
- 開発作業をまとめて任せられる:コード生成だけでなく、ファイル操作やターミナル操作まで一連の流れに組み込めます。
- Modeが明確:実装、設計、質問、デバッグを目的別に分けて利用できます。
- Custom Modesが柔軟:自分の開発ルールに合わせてAIの役割を作れます。
- モデルを選びやすい:特定のAIモデルだけに依存しない構成を取りやすい設計でした。
- オープンソース:ソースコードが公開されており、開発者が内部の仕組みを確認できます。
特にCustom Modesは、Roo Codeを単なるAIコード補完ツールと区別するポイントでした。例えば「必ず既存コードを確認してから編集する」「変更後はテストを実行する」「API仕様を変更しない」といったルールをAIの役割として設定できます。
Roo Codeの利用シーン
Roo Codeは、ChatGPTのような一般用途のAIではなく、基本的にはソフトウェア開発向けのツールです。文章作成やマーケティングにも応用できますが、最も相性が良いのはコードを書く仕事です。
Webサイト・Webアプリ開発
React、Next.js、Vue、JavaScript、TypeScript、HTML、CSSなどを使った開発で、ページ作成、コンポーネント追加、UI修正、API連携などをAIに依頼できます。
既存システムの修正
ゼロから作るだけでなく、「このエラーを直す」「この画面だけレスポンシブ対応する」「古いコードを整理する」といった既存プロジェクトの保守にも利用できます。
デバッグ・テスト
エラーメッセージを確認し、関連ファイルを探し、原因を整理し、修正してテストするという流れをAIに依頼できます。
リファクタリング
重複コードの整理、関数の分割、型定義の改善、古いAPIの置き換えなど、既存コードの品質改善にも利用できます。
ドキュメント作成
コードベースを確認しながらREADME、APIドキュメント、コードコメント、開発手順書などを作成・更新する用途にも使えます。
個人開発
少人数でWebサービスや業務ツールを作っている場合、仕様整理から実装、テストまでAIに補助させることで、開発者一人で複数の役割をこなすような使い方ができます。
一方、ブログ記事、営業メール、SNS投稿、一般的な文章作成だけが目的なら、Roo Codeを選ぶ必要はありません。こうした用途では通常の生成AIのほうが導入も簡単です。
Roo Codeの使い方
Roo Codeは一般的なWebサービスとは異なり、VS Codeを中心とした開発環境に組み込んで利用するタイプでした。そのため「Webサイトで登録してすぐ使う」というより、開発環境を準備してからAIモデルを設定する流れになります。
- VS Codeを準備する
Windows、macOS、Linuxなどの開発環境にVS Codeを用意します。 - Roo Codeを導入する
VS Codeの拡張機能としてRoo Codeをインストールします。 - AIプロバイダーを設定する
利用するAIモデルやAPIを設定します。 - プロジェクトを開く
作業対象となるプロジェクトフォルダーをVS Codeで開きます。 - Modeを選択する
実装ならCode、設計ならArchitect、調査ならAsk、問題解決ならDebugというように使い分けます。 - AIに具体的な指示を出す
目的、対象ファイル、制約、完了条件などを伝えます。 - 変更内容を確認する
AIが提案・実行する変更やコマンドを確認します。 - テストする
ビルドやテストを実行し、問題があれば追加指示を出します。
実際の指示例
このプロジェクトのログイン処理を確認してください。
目的:
・ログイン失敗時のエラーメッセージを改善する
・認証エラーとサーバーエラーを分ける
・現在のUIデザインは変更しない
作業手順:
1. 関連ファイルを調査する
2. 現在の認証処理を説明する
3. 修正方法を提案する
4. 問題がなければ実装する
5. 関連テストを実行する
6. 最後に変更したファイルを一覧表示する
このように、単に「ログイン機能を改善して」と頼むより、作業範囲、変更してはいけない部分、確認方法まで指定したほうが、AIエージェント型ツールでは結果を確認しやすくなります。
Roo Codeを使うときのコツ
1. 大きな仕事を小さく分ける
「このサービスを全部作って」と一度に依頼するより、「まず既存構造を確認」「次に設計」「その後に実装」という順番に分けたほうが安全です。
2. 変更範囲を指定する
「ログイン画面を修正して」ではなく、「src/login配下を中心に変更し、データベース構造は変更しない」と指定すると、意図しない変更を減らせます。
3. 先に説明させる
既存システムを修正する場合は、最初から編集させるのではなく、「関連ファイルと現在の処理フローを説明してください」と指示すると、AIがどこまで理解しているかを確認できます。
4. 完了条件を指定する
「実装してください」だけで終わらず、「実装後にテストを実行し、失敗した場合は原因を説明する」と指定すると、作業の終点が明確になります。
5. Gitで変更履歴を管理する
AIエージェントに複数ファイルを編集させる場合、Gitで変更前の状態を保存しておくことが重要です。AIの出力をそのまま採用するのではなく、差分を確認してからコミットする運用が安全です。
6. 危険なコマンドは人間が確認する
ファイル削除、データベース変更、本番環境への操作、依存パッケージの大幅な変更などは、自動実行に任せないほうが安全です。Roo Codeのようなエージェント型ツールでは、AIが実際に開発環境へ操作を加えるため、この点は通常のチャットAI以上に重要です。
インストール方法・対応環境
Roo Codeは主にVS Codeの拡張機能として利用する製品でした。一般的なスマートフォンアプリではなく、開発者向けのデスクトップ開発環境を中心に設計されています。
| 環境 | 対応 | 利用方法 |
|---|---|---|
| Windows | ○ | VS Codeに拡張機能を導入 |
| macOS | ○ | VS Codeに拡張機能を導入 |
| Linux | ○ | VS Codeに拡張機能を導入 |
| Web | △ | 一般的なブラウザ型AIチャットとは異なる |
| iOS | × | 公式iOSアプリを中心とした製品ではない |
| Android | × | 公式Androidアプリを中心とした製品ではない |
| ブラウザ拡張 | × | 主要な利用方法ではない |
料金・価格
Roo Codeは一般的なSaaSのような「無料版・Pro版・Enterprise版」という単純な料金体系ではありませんでした。本体はオープンソースで、AIモデルについては接続するプロバイダーやモデルによって利用料金が変わる構成です。
| 項目 | 料金・状態 |
|---|---|
| Roo Code本体 | オープンソース |
| AIモデル | 接続するAIプロバイダーの料金体系に依存 |
| Pro版 | 現在提供されている公式Proプランではない |
| Enterprise版 | 現在提供されている公式Enterpriseプランではない |
| 公式Roo Codeサービス | 2026年5月15日に終了 |
ここは古いAIツール紹介記事と現在の記事を分けて考える必要があります。Roo Codeには過去にクラウドやルーターなどの関連サービスが存在しましたが、公式発表では2026年5月15日にExtension、Cloud、Routerが終了しています。
したがって、現在の記事で「Roo Codeは月額○ドルのPro版がある」「企業向けEnterprise版が利用できる」と書くのは正確ではありません。2026年時点では、公式サービス終了という情報を優先して掲載する必要があります。
Roo Codeに向いている人
- プログラマー:コード生成だけでなく、調査・修正・テストまでAIに任せたい人。
- 個人開発者:一人でWebサービスやアプリを開発している人。
- AIコーディングを研究したい人:AIエージェント型開発の仕組みを理解したい人。
- 学生・学習者:コードの説明、デバッグ、実装例の作成にAIを利用したい人。
- 開発チーム:AIに一定の役割やルールを与えて開発フローを整理したいチーム。
一方、プログラミングをしない一般ユーザーには向いていません。Roo Codeは文章を書いて回答を受け取る一般的なAIサービスではなく、開発プロジェクトそのものを操作するためのツールだからです。
また、2026年現在から新規導入する場合は、公式サービスが終了していることを前提に考える必要があります。新しいAIコーディングツールを探している場合は、現在も更新されている選択肢を比較したほうが実用的です。
世界での利用状況
Roo Codeは終了前に大きな開発者コミュニティを形成していました。公式GitHubリポジトリは現在、約2.4万Stars、約3,400 forks規模となっており、オープンソースのAIコーディングプロジェクトとしてかなり大きな規模に成長していました。
公式の終了告知では、Roo Code Extensionが終了するまでに300万回を超えるダウンロードに達したことが説明されています。ただし、これは拡張機能の累計ダウンロード数であり、現在のアクティブユーザー数を意味するものではありません。
国別のユーザー数、月間アクティブユーザー数、国別アクセス数については、信頼できる公式データが公開されていません。そのため、米国、日本、英国などの利用者数を具体的な数字で断定することは避けるべきです。
公開されているGitHubの活動状況を見る限り、Roo Codeは英語圏の開発者コミュニティを中心に広がり、その後、各国のAI・プログラミングコミュニティでも認知されていったオープンソースプロジェクトと見ることができます。
メリット・デメリット
メリット
- AIエージェント型の開発に対応:コード生成だけでなく、ファイル操作やターミナル操作まで扱えます。
- Modeが分かりやすい:設計、実装、質問、デバッグを目的別に分けられます。
- Custom Modesが柔軟:自分の開発スタイルに合わせてAIの役割を作れます。
- オープンソース:ソースコードを確認でき、フォークや派生プロジェクトも作りやすい構成でした。
- 複数モデルに対応:特定のAIモデルだけに固定されない開発環境を構築できました。
デメリット
- 公式サービスが終了:2026年5月15日以降、公式Extension、Cloud、Routerは終了しています。
- 初期設定が必要:一般的なWeb型AIチャットと比べると、開発環境やAIプロバイダーの設定が必要です。
- AIによる自動操作にはリスクがある:複数ファイルの変更やコマンド実行を伴うため、Git管理やレビューが重要です。
- 現在からの新規利用には制約がある:公式版が終了しているため、現役のAIコーディングツールを探すユーザーにはそのまま勧めにくい状況です。
Claude Code・Codex・Gemini CLI・Clineとの比較
Roo Codeを現在のAIコーディングツールと比較するときは、機能だけでなくサービスの現在性も見る必要があります。Roo Codeが活動していた時期と比べ、AIエージェント市場にはClaude Code、Codex、Gemini CLI、Clineなど多くの選択肢が登場しています。
| ツール | 主な特徴 | 主な環境 | 料金の考え方 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| Roo Code | Mode、Custom Modes、ファイル操作、ターミナル、MCP | VS Code | オープンソース+AIモデル/API | AIエージェント型開発、カスタム開発フロー |
| Claude Code | ターミナルを中心としたAIコーディングエージェント | ターミナル、開発環境 | Anthropicの料金体系に依存 | コード調査、実装、修正、レビュー |
| Codex | OpenAI系のAIコーディングエージェント | ターミナル、IDEなど | OpenAIの提供プラン・利用条件に依存 | コード生成、修正、レビュー、エージェント作業 |
| Gemini CLI | Geminiモデルを利用するターミナル型AI開発支援 | ターミナル | Googleのモデル/API利用条件に依存 | コード調査、生成、ターミナル作業 |
| Cline | VS Code上で利用できるAIコーディングエージェント | VS Code | 利用するモデル・APIによって異なる | IDE内でのAIエージェント開発 |
Roo CodeとClineは特に関係が深いツールです。Roo CodeはClineから派生したプロジェクトとして発展しており、VS Code上でAIにファイル操作や開発作業を行わせるという基本的な考え方を共有しています。
ただし、現在の利用を考えるなら事情は異なります。Roo Code公式版は終了しているため、これからAIコーディングエージェントを導入するユーザーは、現在も開発が継続しているツールと比較することが重要です。
Roo Codeは今でも使う価値がある?
Roo Codeは、AIコーディングエージェントの発展を理解するうえで非常に興味深いプロジェクトです。自然言語によるコード生成だけではなく、ファイル操作、ターミナル、デバッグ、Mode、Custom Modes、MCPなどを組み合わせ、AIに開発作業そのものを任せる方向へ進んでいました。
特にCustom Modesの考え方は、現在のAIエージェントにも通じるものがあります。「AIに何を書かせるか」だけではなく、「AIにどの役割を与え、どのルールで仕事をさせるか」という考え方を実装していた点は、Roo Codeを評価するときに外せません。
ただし、2026年現在、新しくRoo Codeを使い始めることについては慎重に判断する必要があります。公式Roo Code Extension、Cloud、Routerは2026年5月15日に終了し、GitHubリポジトリもアーカイブされています。
すでにRoo Codeを利用している人や、過去の設定・ソースコード・開発思想を研究したい人にとっては、GitHub上のアーカイブが参考になります。一方、これからAIコーディングを始める人には、現在も更新されているClaude Code、Codex、Gemini CLI、Clineなどを比較したうえで選ぶほうが、長期的には扱いやすいでしょう。
Roo Codeを一言で表すなら、「現在使い始めるための最新AIコーディングサービス」ではなく、「AIエージェント型開発の進化を理解するうえで重要なオープンソースプロジェクト」です。過去の実績や機能を見る価値はありますが、現在の開発環境として採用する場合は、公式サービス終了という事実を最優先に考えるべきです。

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